書面のはなしは、
- 生命保険契約
- 特定公正証書
- 契約締結前書面
- 契約締結時書面
- 保険契約に関する書面
- 受取証書・債権証書
という6つの分野に分類することができます。
今回は「契約締結前書面」と「契約締結時書面」について纏めてみました。
③ 契約締結前書面
貸金業者が契約締結前に交付する書面について、
「貸付けに係る契約」
「極度方式基本契約」
「極度方式貸付け」
の3つに分類してまとめています。
(1)「貸付けに係る契約」の契約締結前書面
貸金業者は、契約締結前に、契約内容を説明する書面を契約相手に交付する。
書面交付は電磁的方法(電子メール)による方法も可能だが、電磁的方法による場合、事前に契約相手の承諾を得る必要がある(書面・電磁的方法での承諾)
(貸付けに係る契約の契約締結前書面の記載事項)
・契約内容の大抵は記載。
⇒但し、「契約年月日」「契約相手の氏名・住所」は記載不要。
※契約締結前の書面を交付した後に、契約締結前の書面に記載すべき事項を変更した場合は、当該契約を締結する前に、
⇒変更後の内容を記載した契約締結前の書面を交付する必要がある。
(2)「極度方式基本契約」の契約締結前書面
貸金業者は、極度方式基本契約を締結する前に、契約内容を説明する書面を契約相手に交付する(上記と同様)。
(極度方式基本契約の契約締結前書面の記載事項)
・契約内容の大抵は記載(上記の貸付に係る契約と同様)
⇒但し、「契約年月日」「契約相手の氏名・住所」は記載不要。
⇒また、以下も記載不要
「①貸付の金額」
「②返済期間・返済回数」
「③将来支払う返済金額の合計額」。
一方、極度方式基本契約の場合、貸付けに係る契約の契約締結締結書面の記載事項に加えて、
「①極度額(or極度額を下回る額を提示する場合は、その額及び極度額)」、
「②返済期間・返済回数ならびにその仮定」
「③…仮定に基づいた将来支払う返済金額の合計額」
を記載する。
(3)「極度方式貸付け」の場合
極度方式貸付けの場合は、契約締結前書面は不要である。
- 貸付けに係る契約を締結しようとする場合、契約締結する迄に、「契約年月日」「契約の相手方の氏名・住所」は記載する必要はない。
- 極度方式基本契約の場合、「貸付けの金額」は記載事項ではない。
④ 契約締結時書面
貸金業者が契約の際に交付する契約締結時書面について、
「貸付けに係る契約」
「極度方式基本契約」
「極度方式貸付け」
の3つに分類してまとめています。
(1)「貸付けに係る契約」の契約締結時書面
貸金業者は、貸付けに係る契約を締結した場合には「遅滞なく」契約内容を明らかにする書面を相手に交付する。
電磁的方法(電子メール)による交付も可能だが、事前に契約相手の承諾を得る必要がある(書面・電磁的方法での承諾)。
(2)「極度方式基本契約」の契約締結時書面
極度方式基本契約の契約締結時書面に記載すべき事項は、
契約締結前書面に記載すべき事項に、
+
①極度額、②返済期間・返済回数と③返済金額は記載する(仮定に基づいた金額を記載)
+
・返済期間・返済回数・返済金額などを後に変更しうる時はその旨を記載する。
・但し、①貸付けの金額は記載事項ではない。
(3)「極度方式貸付け」に係る契約の契約締結時書面
原則
極度方式貸付けに係る契約においては、
(原則)
・契約締結時書面の交付は必要
・極度方式基本契約時に記載したものは、極度方式貸付けの際には省略可能
(貸金業者の登録番号、極度方式基本契約締結時の交付書面)
・極度方式基本契約時の記載よりも、契約相手に有利なものは省略可能
なお、契約相手の氏名住所は契約番号で代替可能
↓しかし、
極度方式貸付けは、極度方式基本契約に基づく貸付けなので、貸付内容は極度方式基本契約の締結時書面において、すでに明らかにされているものも。
例外
↓そこで、
(例外;煩雑のため)
①極度方式基本契約の「契約年月日」や「貸付けの金額」等を記載した書面(簡素化書面)の交付にとどめて、
②1ヶ月の貸付けと弁済の状況を記載したマンスリーレポートを交付する方法に変えることができる。
※但し、事前に契約相手の承諾を得る必要
- 貸付けに係る契約締結したときは、契約締結後、遅滞なく書面交付しなくてはいけない。契約締結日から2週間以内に書面交付するわけではない。
- 極度方式貸付けに係る契約締結したときも、遅滞なく、契約内容を明らかにする書面を相手に交付する必要がある。
*契約変更時の書面(重要事項を変更した場合)
(1)貸付けに係る契約の重要事項の変更
貸付けに係る契約の重要事項を変更した場合、書面の再交付が必要。
⇒何が重要であるかは常識で判断する。
但し、次の場合は書面の再交付は不要。
「契約相手の利益となる変更」
「契約相手の利益保護に支障を生じることがない変更」
もっとも、次の場合は、書面の交付が必要となる。
『返済の方式』
『返済の方法および返済を受ける場所』
『各回の返済期日および返済金額』
『物的担保の内容』
『保証人の商号・名称・氏名・住所』
(2)極度方式基本契約における重要事項の変更
極度方式基本契約では、更に「極度額(貸付限度額を含む)」を変更する場合にも書面の再交付が必要。
但し、「極度額を引き下げるとき」「極度額を引き下げた後、元の額を上回らない額まで引き上げるとき」は、契約相手の利益保護に支障を生ずることがないとして、書面の再交付は不要。
(3)保証契約における重要事項の変更
保証契約において重要事項を変更する場合も、上記貸付けに係る契約と同様に書面再交付が必要。
⇒何が重要であるかは常識で判断する。
更に、以下も重要事項として書面再交付が必要。
①「保証金額」
②「保証期間」
④「連帯保証」を変更する場合も、契約変更時の書面交付が必要。
⇒但し、契約の相手方の利益となる変更を加えるときは、契約変更時の書面は不要。
*貸金業者が、電磁的方法によることができる書面
電磁的方法により提供するには、相手方から書面または電磁的方法で、事前承諾を得る必要がある。
電磁的方法により提供することについて事前承諾を得た場合には、貸金業者は相手方に対して、その承諾内容をあらかじめ適切な方法で通知する必要がある。
携帯電話、PHS等に電磁的方法で送信した場合は、送信日から3ヶ月以内に受信者の請求があれば、書面交付を要する。
1.貸金業法および関係法令分野
目的・定義 (A) | ノート1 | 問題集1 |
貸金業者 (AA) | ノート2 | 問題集2 |
貸金業務取扱主任者 (A) | ノート3 | 問題集3 |
禁止行為・広告・勧誘 (B) | ノート4 | 問題集4 |
貸付けに関する規制 (A) | ノート5 | 問題集5 |
基準額超過・極度方式基本契約 (AA) | ノート6 | 問題集6 |
生命保険契約、特定公正証書 (AA) | ノート7 | 問題集7 |
契約締結前書面、契約締結時書面 (AA) | ノート8 | 問題集8 |
保証契約、受取証書・債権証書 (AA) | ノート9 | 問題集9 |
取立て行為、取立てにおける書面 (A) | ノート10 | 問題集10 |
債権譲渡等と保証契約に係る求償権 (B) | ノート11 | 問題集11 |
指定信用情報機関と貸金業協会 (B) | ノート12 | 問題集12 |
監督処分〜貸付自粛まで (B) | ノート13 | 問題集13 |
利息、賠償額の予定、保証料 (A) | ノート14 | 問題集14 |
弁護士法・サービサー法・e文書法 (C) | ノート15 | 問題集15 |
2.貸付けに関する法令と実務
3.資金需要者等の保護
個人情報保護法 (B) | ノート16 | 問題集16 |
消費者保護法、不当景品類・不当表示法 (B) | ノート17 | 問題集17 |
4.財務および会計 (D)