返済能力を超える貸付けの防止に関する直前まとめ問題集(5ページ目)です。
スポンサーリンク
(1)過剰貸付け等の禁止
- 貸金業者であるA社は、個人顧客Bとの間で貸付けに係る契約を締結するにあたり、個人Cと保証契約を締結しようとする場合は、その保証人の返済能力を超える保証契約を締結することはできない。
(2)個人顧客に対する総量規制(過剰貸付契約の禁止)
総量規制
- 貸金業者であるA社は、個人顧客Bとの間で貸付けに係る契約を締結するにあたり、個人Cと保証契約を締結しようとしている。
Cが貸金業者であるD社との間で貸付けに係る契約を締結している場合において、「CのD社に対する借入残高」と、「BのA社に対する貸付け合計額」が、Bの総収入額に3分の1を乗じた額を超えるときでも、保証契約を締結できる。⇒保証契約締結の場合には、総量規制は受けない。
総量規制の除外
- 自動車の購入に必要な資金の貸付けに係る契約で、その自動車の所有権を貸金業者が取得し、またはその自動車が担保の目的となっているものは、総量規制の除外に該当する。
⇒自動車ローンでも、所有権者が借主であり、譲渡担保の目的にもなっていないものは総量規制の除外に該当しない。
- 個人顧客、またはその親族で生計を一にする者の高額療養費を支払うために必要な資金の貸付けに係る契約は、総量規制の除外(*住宅資金貸付契約その他の内閣府令で定める契約または*個人過剰貸付契約から除かれる契約)に該当する。
総量規制の例外(*個人顧客の利益保護に支障を生ずることがない契約)とする引っ掛け問題が出る。
- 手形の割引(融通手形を除く)を内容とする契約は、総量規制の除外(個人過剰貸付契約から除かれる契約 )に該当する。
- 貸金業者を債権者とする金銭の媒介に係る契約は、個人過剰貸付契約から除かれる契約に該当する。
- 金融商品取引法に規定する有価証券を担保する貸付けに係る契約は、原則として「個人過剰貸付契約から除かれる契約に該当する。但し、その貸付金額が、貸付時におけるその有価証券の時価の範囲内でなければならない。
- 不動産を担保とする貸付けに係る契約であって、その個人顧客の返済能力を超えないと認められるものは、原則として総量規制の除外(個人過剰貸付契約から除かれる契約)に該当する。
しかし、個人顧客や担保提供者の居宅、生計維持に不可欠なものを担保とする場合には、不動産担保貸付けであっても、総量規制の除外には該当しない。 - 売却予定の不動産(借地権を含む)の売却代金により弁済される貸付けに係る契約であって、その個人顧客の返済能力を超えないと認められるものは、原則として総量規制の除外に該当する。
しかし、貸付けの金額がその契約締結時における「不動産価格の範囲外」である場合や、「不動産売却により個人顧客の生活に支障を来す」と認められる場合は、個人過剰貸付契約から除外されない。
総量規制の例外
- 個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約(総量規制の例外)の貸付け残高は、個人顧客合計額に加算される。
- 個人顧客に一方的に有利となる借替えの契約は「個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約(総量規制の例外)」に該当する。
⇒個人顧客に一方的に有利と言えるためには、借換えの契約内容が、毎月の返済額や総返済額が減少し、追加担保や追加保証がない状況でなければならない。
- 個人事業主に対する貸付けに係る契約が総量規制の例外に該当するためには、事業の実態が確認され、かつ事業主の返済能力を超えない場合でなければならない。
(3)貸金業者による返済能力の調査
1-1.貸金業者による、返済能力の調査義務
- 貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合には、顧客等が法人である場合にも返済能力の調査が必要である。
- 貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合には、貸付けの契約には保証契約も含まれるので、保証契約を締結しようとする場合にも返済能力の調査が必要である。
- 貸金業者が返済能力の調査義務に違反した場合には、貸金業の業務に関して法令違反となるため、業務の停止(1年以内の期間を定めて業務の一部もしくは全部の停止)を命じられるだけでなく、貸金業の登録を取り消されることもある。
1-2.貸金業者による、調査に関する記録の作成・保存
- 貸金業者は、個人顧客との間で「極度方式基本契約」を締結した場合、返済能力の調査に関する記録を作成し、
・当該極度方式基本契約の解除日または、
・当該極度方式基本契約に基づくすべての極度方式貸付けに係る契約に定められた最終の返済期日
のうち最後のもののうち、いずれか遅い日まで保存しなければならない。 - 貸金業者は、「保証契約」を締結した場合には、返済能力の調査に関する記録を作成し、これを一定期間保存しなければならない。
保証契約の場合は、
・貸付けに係る契約に定められた最終返済期日または、
・保証契約に基づく債務が消滅した日
のうち、いずれか早い日まで保存しなければならない。
2.貸金業者による、「個人顧客」指定信用情報機関の利用
- 貸金業者は、個人である顧客等と貸付けの契約(極度方式貸付けに係る契約等を除く)を締結しようとする場合には、返済能力の調査を行う際に、指定信用情報機関が保有する信用情報を使用しなければならない。
- 貸金業者は、個人である顧客等と保証契約を締結する場合にも、指定信用情報機関が保有する信用情報を使用した返済能力の調査が必要である。
- 貸金業者は、指定信用情報機関を利用しないで貸付けの契約(保証契約を含む)を締結したときは、刑事罰を課されることがある。
- 個人顧客に対する貸付であっても、極度方式貸付けに係る契約を締結しようとするときは、返済能力の調査の際に、指定信用情報機関が保有する信用情報を使用する必要はない。
- 貸金業者を債権者とする金銭の貸借の媒介に係る契約を締結する場合、返済能力調査の際に、指定信用情報機関が保有する信用情報を使用する必要はない。
3.貸金業者による、「個人顧客:貸付に係る契約」資力を明らかにする書面等の徴収
- 貸金業者は、個人と保証契約を締結しようとする場合、保証人となろうとする者から資力を明らかにする書面等の提出・提供を受ける必要はない。
- 個人顧客から顧客の資力を明らかにする書面等の提供・提出を受けなければならないのは、「当該貸金業者合算額」が50万円を超えるとき、または「個人顧客合算額」が100万円を超えるときである。
「当該貸金業者合算額」が50万円のときは、50万円を超えないので資力を明らかにする書面等の提出・提供は不要である。
- すでに個人顧客の資力を明らかにする書面等の提出・提供を受けているときは、原則として、改めて個人顧客の資力を明らかにする書面等の提出・提供を受ける必要はない。
4.極度方式基本契約の極度額を増額する場合
- 極度額のほか、貸付限度額(極度方式基本契約に基づく極度方式貸付けの元本の残高の上限)として、極度額を下回る額を提示する場合、この貸付限度額を増額する場合も、原則として、返済能力の調査(および記録・保存)が必要である。
返済能力を超える貸付限度額の増額はできない。 - 顧客に返済能力の低下が認められたことにより、極度額を一時的に減額した場合で、その後極度額を元に戻す時には、返済能力の調査は必要である。
⇒相手と連絡できないことにより、極度額を一時的に減額していた場合は、返済能力の調査は不要である。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
1.貸金業法および関係法令分野
目的・定義 (A) | ノート1 | 問題集1 |
貸金業者 (AA) | ノート2 | 問題集2 |
貸金業務取扱主任者 (A) | ノート3 | 問題集3 |
禁止行為・広告・勧誘 (B) | ノート4 | 問題集4 |
貸付けに関する規制 (A) | ノート5 | 問題集5 |
基準額超過・極度方式基本契約 (AA) | ノート6 | 問題集6 |
生命保険契約、特定公正証書 (AA) | ノート7 | 問題集7 |
契約締結前書面、契約締結時書面 (AA) | ノート8 | 問題集8 |
保証契約、受取証書・債権証書 (AA) | ノート9 | 問題集9 |
取立て行為、取立てにおける書面 (A) | ノート10 | 問題集10 |
債権譲渡等と保証契約に係る求償権 (B) | ノート11 | 問題集11 |
指定信用情報機関と貸金業協会 (B) | ノート12 | 問題集12 |
監督処分〜貸付自粛まで (B) | ノート13 | 問題集13 |
利息、賠償額の予定、保証料 (A) | ノート14 | 問題集14 |
弁護士法・サービサー法・e文書法 (C) | ノート15 | 問題集15 |
2.貸付けに関する法令と実務
3.資金需要者等の保護
個人情報保護法 (B) | ノート16 | 問題集16 |
消費者保護法、不当景品類・不当表示法 (B) | ノート17 | 問題集17 |
4.財務および会計 (D)