書面が関わる事項の話は、
- 生命保険契約
- 特定公正証書
- 契約締結前書面
- 契約締結時書面
- 保険契約に関する書面
- 受取証書・債権証書
という6つの分野に分類することができます。
ここでは「生命保険契約」と「特定公正証書」について纏めています。
① 生命保険契約に関する制限
1.債務者の「自殺による死亡」を保険事故と出来ない(生命保険契約の締結)
(原則)貸金業者は、債務者の自殺による死亡により支払いを受ける保険契約は締結できない(自殺を保険事故とは出来ない)。
↓
(例外)但し、遺族の居住場所を確保する必要があるので、以下3つの契約締結場面では自殺による死亡を保険事故とすることができる。
① 住居の建設・購入資金の貸付に係る契約
(住宅用の土地、借地権の取得に必要な資金を含む)
② 住居の改良に必要な資金の貸付に係る契約
③ 上記①②が実施されるまでのつなぎ融資
2.債務者の死亡により保険金支払いを受ける場合
貸金業者が「債務者の死亡」により保険金の支払いを受ける保険契約を締結する場合には、下記要件を要する。
(1)債務者の同意
(2)債務者に事前説明書面の交付
(契約の内容、貸金業者に支払われる保険金額、保証継続期間)
※ 事前の説明書面は、電磁的方法でもよいが、事前に書面または電磁的方法による承諾が必要。
- 貸金業者が生命保険契約を締結しようとする場合、貸付けの契約の相手方の自殺による死亡を保険事故とする時には、事前に相手方(債務者)にその旨を記載した説明書面を、債務者が同意する前に交付する必要がある。
- 貸付けの契約の相手方(債務者)の自殺以外による死亡を保険事故とする場合でも、同じく債務者が同意する前に書面交付する必要がある。
② 特定公正証書に係る制限
特定公正証書は、債務不履行の場合に直ちに債務者に強制執行できるもの。
*特定公正証書に係る制限
・貸金業を営む者は、債務者等から、特定公正証書の作成を公証人に嘱託することを代理人に委任する委任状を取得してはいけない。
・貸金業を営む者は、債務者が特定公正証書の作成を公証人に嘱託する場合には、代理人の選任に関して推薦・関与してはいけない。
・貸金業者は、貸付けの契約について「特定公正証書の作成」を公証人に嘱託する場合には、あらかじめ(事前に)債務者に説明書面を交付して、債務不履行により直ちに強制執行されることを説明する。
*公的給付に係る預金口座通帳・カード・年金証書
公的給付に係る「預金口座通帳・カード」「年金証書」については、
・貸金業を営む者は、公的給付から弁済を受けることを目的として、引渡し・提供を求めてはいけないし、保管してはいけない。
・(公的給付が払い込まれる口座からの)口座振替を金融機関に委託するように求めてはいけない。但し、債務者の口座から単なる弁済を受けるために、口座振替を金融機関に委託するよう求めることはできる。
- 貸金業を営む者は、貸付けの契約について、債務者等から「公正証書」の作成に関する委任状を取得しても良い。⇒単なる「公正証書」作成の委任状は取得できる。禁止されているのは「特定公正証書」作成に係ることである。
- 貸金業者を営む者は、債務者等の口座から弁済を受けるために、単なる口座振替を金融機関に委託するように求めることができる。
1.貸金業法および関係法令分野
目的・定義 (A) | ノート1 | 問題集1 |
貸金業者 (AA) | ノート2 | 問題集2 |
貸金業務取扱主任者 (A) | ノート3 | 問題集3 |
禁止行為・広告・勧誘 (B) | ノート4 | 問題集4 |
貸付けに関する規制 (A) | ノート5 | 問題集5 |
基準額超過・極度方式基本契約 (AA) | ノート6 | 問題集6 |
生命保険契約、特定公正証書 (AA) | ノート7 | 問題集7 |
契約締結前書面、契約締結時書面 (AA) | ノート8 | 問題集8 |
保証契約、受取証書・債権証書 (AA) | ノート9 | 問題集9 |
取立て行為、取立てにおける書面 (A) | ノート10 | 問題集10 |
債権譲渡等と保証契約に係る求償権 (B) | ノート11 | 問題集11 |
指定信用情報機関と貸金業協会 (B) | ノート12 | 問題集12 |
監督処分〜貸付自粛まで (B) | ノート13 | 問題集13 |
利息、賠償額の予定、保証料 (A) | ノート14 | 問題集14 |
弁護士法・サービサー法・e文書法 (C) | ノート15 | 問題集15 |
2.貸付けに関する法令と実務
3.資金需要者等の保護
個人情報保護法 (B) | ノート16 | 問題集16 |
消費者保護法、不当景品類・不当表示法 (B) | ノート17 | 問題集17 |
4.財務および会計 (D)